解決事例 犯罪・刑事事件Case

【犯罪・刑事事件】解決事例1:

重大事件の余罪嫌疑回避、準抗告を駆使して迅速に保釈・執行猶予獲得、被害弁償に代わる供託を実施

相談前

依頼者は、いわゆるキャバクラ店を多数経営する会社の幹部。従業員とともに同業他社の店舗に嫌がらせをしたとして、威力業務妨害罪にて逮捕・勾留された。

その同業他社の幹部が、複数名の男に襲撃され、殺人未遂の捜査もなされており、依頼者の関与も疑われていた。複数の暴力的事案の前科があり、場合によっては実刑も危惧された。

相談後

接見禁止に対する準抗告、勾留延長に対する準抗告をしていく中で、本件の勾留は実質的に別件である殺人未遂罪の捜査のために利用されていること、別件殺人未遂には依頼者が関与しておらず、関与していないという根拠を挙げた。

威力業務妨害では起訴されたが、殺人未遂罪での再逮捕・再勾留は回避できた。別件逮捕勾留を回避できたこともあり、迅速に保釈を得ることができ、保釈中の生活態度も良好で、懲役2年、執行猶予4年の執行猶予判決を得ることができた。

被害会社に対し、被害弁償の努力をしたが、被害弁償を受け取らないので、供託の手続きをした。情状上効果が大きかったと思われる。

コメント

刑事事件では、とにかく早く身柄を解放することが先決です。釈放されて心身ともに落ち着かないと、次のステップにはうまく進めません。そのために、私は、準抗告、保釈請求、抗告等、ありとあらゆる申立を駆使し、少しずつでも身柄解放に近づけていきます。

準抗告や抗告は、「やっても意味がない。」としてやらない弁護士が90%以上いると思いますが、検察官や裁判官に対するけん制となりますし、仮に棄却されても、その理由が書面に書かれますから、その内容をヒントにし、その課題を解決して、次の申立てに繋げることができます。

例えば、「共犯者の間の供述に齟齬がある。」と書かれたら、共犯者らが何をどう供述しているのか、弁護人間で情報交換し、対策を講じます。「実況見分が未了である。」と書かれたら、実況見分が終わったその日に、勾留延長に対する準抗告申立をすると、勾留期間が短くなったりします。

極端な場合、勾留延長がなくなったり、延長自体は認められてもわずか3日で、その3日はすでに経過している等で、即日釈放された被疑者も何人かいます。
接見禁止に対する準抗告などは、半分以上が通ります。仮に通らなくても、その理由が示されるのですから、やらない選択はあり得ません。

保釈についても、被疑者段階から準抗告を重ね、いったん保釈却下になってもまたその理由を参考に状況を整えて保釈申立をすることを繰り返し、努力をすれば許可が出るのは間違いなく早まります。

迅速に執行猶予を獲得できたのは、被疑者段階の準抗告により、捜査の状況や、裁判所が何を危惧しているのかが把握できており、保釈を早期に獲得していたからだと思います。

依頼者が、別件の殺人未遂罪に関与していたかどうかは不明で、私は関与していなかったと思いますが、再逮捕・再勾留されるだけでも肉体的・精神的苦痛は大きいので、被疑者段階の弁護活動の実りがあった事案だと思います。
執行猶予を獲得するのも楽ではなく、ギリギリの事案でしたが、このような事案では、被害弁償の努力がカギとなります。

刑事記録から被害会社の損害を計算し、その金額を上回る金額を被害会社に提示し、受取拒否に遭っても法務局に供託したことが大きかったと思います。