解決事例 借金・債務整理Case

【借金・債務整理】解決事例1:

マンションを実質失わずに自己破産、預貯金を自由財産として少しでも多く残したいときの努力

相談前

依頼者に浪費はないが、他人の事業の保証人になるなどして、多額の債務を抱えることになった。自己破産することはやむを得ないが、所有マンションは手放したくなかった。 現金・預貯金も約100万円あり、自由財産の限度額99万円を超える部分については財団に組み入れられる(没収される)おそれがあった。

相談後

マンションについては、親族が一時代わりに弁済することで抵当権の実行を免れ、破産管財人が選任されたのちに、他の親族が任意売却で購入するかたちで維持した。
購入代金の決定に際しては、いくつかの不動産業者から査定をとり、もっとも安くなるよう破産管財人と交渉(事実上)した。

自由財産については、破産手続開始決定時、その当日の金額で判断されるので、依頼者に入る給与・賞与や、支払の額などを推計し、依頼者の手持ち現・預金が少なくなるピークに破産手続開始決定がなされるよう、許される範囲で日程調整した。

なお、破産手続にかかる費用、つまり弁護士費用と予納金については自己破産申立直前に支払っていても偏波弁済などの問題とはならないので、弁護士費用の分割払いと予納金の積み立てについても許される範囲で微調整し、依頼者の経済的負担が最小限になるように配慮した。保険の解約返戻金なども自由財産99万円の中にカウントされてしまうので、保険を解約して弁護士費用の一部に充てた

結果、自由財産の限度額99万円を超えて財団組入される金額は最小限に抑えることができた。

コメント

自己破産申立事件の場合、最大の目標は依頼者の経済的再生です。そのためには、依頼者の経済的負担を最小限に留めなければなりません。

しかしながら、破産手続には公正さが求められ、債権者らの利益を害するような不公正たことは禁じ、もしくは制限されており、依頼者の経済的負担を抑える方法にも限度があります。

その中で、不公正にならない範囲で、受任時から自己破産申立時、破産手続開始決定時に至る依頼者の財産管理(破産手続開始決定以後は破産管財人が財産を管理します)を的確になすことによって、依頼者の経済的負担を抑える努力をすることになります。

何が公正で、何が不公正かは、破産法や破産手続の教科書にすべて載っている訳ではなく、自己破産申立代理人は破産管財人の実務経験を通じてノウハウを蓄積することになります。 特に、破産管財人の立場から、申立人および申立代理人の財産管理に目を光らせる経験を積み重ねると、どういう場合に破産管財人が問題視するのか、分かってきます。

あくまでも、不公正にならない範囲で可能な選択肢を探すことが前提ですが、そのノウハウの有無でかなりの差が生じるのも現実です。

私が破産管財人の事案では、破産者が申立の直前に保険金300万円を解約して息子と娘からの借金の返済に支払ったのを否認したり、破産者が「駐車場の持分をすべて自分にする旨の遺産分割協議書は見たことがなく無効である」として妹と持分2分の1ずつの登記をしてしまったのに対し登記抹消請求したり、あるいは、そのような不適切な財産処分をしたことのペナルティとして破産者に積立金を命じたこともあります。

見ていると、けっこう失敗している弁護士も多いので、弁護士選びは慎重にしましょう。