解決事例Case

【交通事故】解決事例1:

異議申立により後遺障害等級アップ、裁判を辞さない強気の交渉で高額の賠償金獲得

相談前

後遺障害等級は事前認定で12級。

それまである程度の金額の休業損害等の一時金を受け取っていたため、保険会社の提示は、既払いの休業損害を差し引いて残金240万円。
これは、既払い金を別とすれば、後遺障害12級の自賠責保険金額224万円とあまり変わらない。

保険会社にまだ弁護士はついていなかったが、保険会社の対応に不満があったのと、提示された金額に妥当性があるのか心配になって、今枝仁法律事務所の初回無料相談を利用した。

相談後

今枝仁法律事務所で受任し、保険会社と交渉を始めたら、すぐに保険会社の顧問弁護士が対応するようになった。

損害額の協議に入る前に、後遺障害等級に異議申立をしたら、決定まで半年間近く待たされたが、併合8級にまでアップ。労働能力喪失割合は、12級14%から、8級45%に、3・21倍のアップ。

慰謝料と後遺障害逸失利益の合計で、12級の自賠責保険金上限224万円とたいして変わらない240万円を前提に残金が提示されていたのに対し、慰謝料は8級の「赤本基準」830万円、後遺障害は年収700万円×労働能力喪失割合45%×51歳のライプニッツ係数10・8378で約3,400万円を請求。

依頼者も裁判は回避して早く解決したかったので、ある程度の譲歩をし、休業補償仮払などの既払金を差し引いて、残金2,800万円で示談解決とした。

コメント

後遺障害等級の異議申立によりかなり等級が上がり、既払い金の関係もあって、残金支払が10倍以上に増額したケースです。後遺障害が問題になるケースでは、たとえ等級がアップする見込みが薄いと思っても、必ず異議申立をしています。

なぜかというと、3件に1件くらいは等級がアップしており、しかも注目していた理由とは別の理由で等級がアップすることもあるし、仮に異議が通らなくても、「やるだけのことをやったのだから、仕方ない。」と、等級に対し納得がいきやすいこともあるからです。

しかし、いつもこのように増額する訳ではありません。
相手の保険会社が金額をもっとも増額するのは、【こちらが本気で裁判をするつもりである】と思ったときに、「裁判で認められるであろう金額、弁護士費用1割や遅延損害金」などを考えてのことです。
ですから、裁判になった場合にどうなるかをしっかりと見据えて、裁判も辞さないという強硬な態度で臨むことが有効です。

あくまでケースバイケースですが、平均すると、後遺障害がないケースで1・2~2倍前後、後遺障害があるケースで1・5~3倍程度、後遺障害異議申立が認められたケースでは2~8倍程度、死亡のケースで1・5~3倍程度という実感です。

既払い金が関わってくると、総額の増加率以上に残金の増加率がかかりますから、上記以上の率で増額することもあります。たとえば、既払金が800万円あるときに、総額が1,000万円から2,000万円に2倍に増えれば、残金は200万円から1,200万円に6倍に増えます。 もっとも、必ずこのように増えるという訳ではありません。

しかし、ほとんどの場合は、任意保険、しかも賠償額無制限の保険であっても、被害者への提示額は、【自賠責保険の金額+ちょっと】、というのが実態です。このような説明を受けて、多くの依頼者が、「騙されるところだった。危なかった。弁護士に相談してよかった。」と仰います。
過失相殺についても、基準よりも依頼者に不利な割合を押し付けようとされている場合が多くあります。

保険会社には、被害者が素人の場合の基準、弁護士がついたときの基準、裁判になった場合の基準がありますから、弁護士を選任して、裁判も辞さないという態度で交渉に臨むことにより、裁判で得られるであろう金額の8割~9割程度を目指すのがセオリーです。

当事務所は、交通事故と医療事故では、損害額が高額になることから、着手金を基準額よりも低く抑え、その分成功報酬を多めにしていただくという調整もしており、着手金の負担が厳しいという方が依頼しやすいように相談に応じています。
また、後遺障害事案、死亡事案は、弁護士がつくことによって確実に増額するものがほとんどですから、【着手金0・完全成功報酬制】も相談可としています。

依頼者が当事務所に依頼して、獲得できる金額があまり増えず、支払った着手金の元も取れず赤字になってしまうということは今まで一度もありませんでしたが、仮にそのような結果になったとしたら、依頼者の方のマイナスがゼロになるまで、着手金を返金します。
必ず着手金の金額以上は増額できる自信があるからこそ、できる約束です。

【交通事故】解決事例2:

むち打ちだからと馬鹿にして、治療打ち切りを主張する保険会社との、粘り強い交渉により、治療期間延長、後遺障害等級を獲得

相談前

相談者は、頚椎捻挫によるむち打ちを主訴としていたが、保険会社は、「むち打ちの場合は、治療期間は最大6か月間である」として、治療の打ち切り、健康保険の使用を要求してきた。

しかし、依頼者の首の痛み、しびれ、可動域制限は続いており、治療の継続はもちろんのこと、後遺障害が残ることも危惧される案件だった。

相談後

保険会社と交渉して、治療期間の継続を求めた。依頼者に専門病院を受診してもらい、精密検査を受けて、診断書を新たに取得してもらった。

保険会社も、先の見えない治療期間延長には応じないことから、専門医の所見を基に、「4か月後には後遺障害診断書を取得して症状固定とする」ことを条件に、治療期間の延長、すなわち依頼者の治療費負担の延期を獲得。

4か月後に、後遺症診断書を取得して後遺障害等級の認定を求めたが、「非該当」となった。これに対して異議申立をするとともに、その審査期間中に、症状固定日を変更する新たな後遺障害診断書を取得し、画像上頚椎に変異を認める等の内容も効果を発揮して、症状固定日がさらに6か月延び、後遺障害等級14級を獲得した。

損害額については、保険会社は自賠責保険の基準額そこそこから提示したが、「裁判も辞さない」という強気の姿勢で交渉した結果、「赤い本」基準の満額を獲得。

コメント

保険会社は、早く早く治療を打ち切ろうとしてきます。
これは、被害者の中には、必要のない治療をダラダラ続けている人も少なくないといった問題もあります。被害者としては、適正に治療を続け、その状況を検査や診断書などで証明して、治療期間の継続を粘り強く交渉していくしかありません。

本当にもう打ち切られそうなときは、「あと●か月待ってくれたら必ず後遺障害診断書を取得して認定申請する」という確約をすることもあります。保険会社も、先の見通しがつけば、ある程度譲歩してくれることもあります。
後遺障害診断書は、一度書いてもらっても、新たに書いてもらって差し支えありません。

本件の場合は、最初の後遺障害診断書を書いてもらった後、健康保険で治療を続けていましたが、精密検査の結果、頚椎の構造的変位が認められたことから、症状固定日も延びましたし、後遺障害14級の獲得にもつながりました。

後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益が認められますが、症状固定日が延びることで、休業損害と障害慰謝料が増額されるという効果がありました。この依頼者の場合は、もし弁護士に依頼をしなかったら、治療期間6か月、後遺障害なし、で終わっていた可能性がありましたので、弁護士に依頼した経済的効果は大きなものがありました。

【借金・債務整理】解決事例1:

マンションを実質失わずに自己破産、預貯金を自由財産として少しでも多く残したいときの努力

相談前

依頼者に浪費はないが、他人の事業の保証人になるなどして、多額の債務を抱えることになった。自己破産することはやむを得ないが、所有マンションは手放したくなかった。 現金・預貯金も約100万円あり、自由財産の限度額99万円を超える部分については財団に組み入れられる(没収される)おそれがあった。

相談後

マンションについては、親族が一時代わりに弁済することで抵当権の実行を免れ、破産管財人が選任されたのちに、他の親族が任意売却で購入するかたちで維持した。
購入代金の決定に際しては、いくつかの不動産業者から査定をとり、もっとも安くなるよう破産管財人と交渉(事実上)した。

自由財産については、破産手続開始決定時、その当日の金額で判断されるので、依頼者に入る給与・賞与や、支払の額などを推計し、依頼者の手持ち現・預金が少なくなるピークに破産手続開始決定がなされるよう、許される範囲で日程調整した。

なお、破産手続にかかる費用、つまり弁護士費用と予納金については自己破産申立直前に支払っていても偏波弁済などの問題とはならないので、弁護士費用の分割払いと予納金の積み立てについても許される範囲で微調整し、依頼者の経済的負担が最小限になるように配慮した。保険の解約返戻金なども自由財産99万円の中にカウントされてしまうので、保険を解約して弁護士費用の一部に充てた

結果、自由財産の限度額99万円を超えて財団組入される金額は最小限に抑えることができた。

コメント

自己破産申立事件の場合、最大の目標は依頼者の経済的再生です。そのためには、依頼者の経済的負担を最小限に留めなければなりません。

しかしながら、破産手続には公正さが求められ、債権者らの利益を害するような不公正たことは禁じ、もしくは制限されており、依頼者の経済的負担を抑える方法にも限度があります。

その中で、不公正にならない範囲で、受任時から自己破産申立時、破産手続開始決定時に至る依頼者の財産管理(破産手続開始決定以後は破産管財人が財産を管理します)を的確になすことによって、依頼者の経済的負担を抑える努力をすることになります。

何が公正で、何が不公正かは、破産法や破産手続の教科書にすべて載っている訳ではなく、自己破産申立代理人は破産管財人の実務経験を通じてノウハウを蓄積することになります。 特に、破産管財人の立場から、申立人および申立代理人の財産管理に目を光らせる経験を積み重ねると、どういう場合に破産管財人が問題視するのか、分かってきます。

あくまでも、不公正にならない範囲で可能な選択肢を探すことが前提ですが、そのノウハウの有無でかなりの差が生じるのも現実です。

私が破産管財人の事案では、破産者が申立の直前に保険金300万円を解約して息子と娘からの借金の返済に支払ったのを否認したり、破産者が「駐車場の持分をすべて自分にする旨の遺産分割協議書は見たことがなく無効である」として妹と持分2分の1ずつの登記をしてしまったのに対し登記抹消請求したり、あるいは、そのような不適切な財産処分をしたことのペナルティとして破産者に積立金を命じたこともあります。

見ていると、けっこう失敗している弁護士も多いので、弁護士選びは慎重にしましょう。

【借金・債務整理】解決事例2:

取り引きの継続を主張して過払い金200万円獲得

相談前

消費者金融との長期間の取引があり、取引を1本として計算したら200万円以上の過払金が発生する計算になるが、消費者金融側は取引の切り換え、別個の取引であることを主張し、古い取引については消滅時効が完成し、新しい取引については過払になっていないと主張していた。解決金として、20万円を支払うとの和解案の提示を受け、依頼者は迷っていた。

相談後

過払金返還請求の訴訟を提起し、取引の継続に関する裁判例を引用して主張したところ、消費者金融側は判決で全ての過払金及び遅延損害金が認められるリスクを認識し、元本+アルファの過払金を獲得する和解が成立して200万円を獲得した。

コメント

過払金返還請求は、示談で解決をすることも多いですが、安易に譲歩するのではなく、裁判を起こして、しっかりと法的な主張を組み立てることも必要です。消費者金融側も、自己に有利な裁判例を引用して反論などをしてきますが、くじけずに緻密な法律構成を組み立てることが重要です。とにかく安易にあきらめたり、妥協したりしないことです。

【離婚・男女問題】解決事例1:

妻の浮気の立証に成功、勝訴的和解で終結

相談前

妻が浮気しているという確信があり、相手も分かっていたが、確たる証拠がなく、裁判で勝訴できるか分からなかった。しかし、どうしても慰謝料を妻と男性から獲得したい依頼者は、妻と男性相手に訴訟を提起した。

相談後

裁判をする前に、相手の男性と面談して録音を取って反訳した。
妻がごみ箱に捨てたレシートから、いつどこで買物をしたか特定。相手の男性の自宅付近に行っていたことを立証。土曜日のあさイチで相手の男性の自宅付近で買物し、高速道路に乗って帰っていることを立証できた。また、録音反訳のお陰で、2人で会ってカラオケボックスに行ったとするカラオケボックスについて、2人の言い分が食い違うことが立証できた。結果として、勝訴に近い金額の和解金を得て離婚成立。

コメント

裁判の前に相手方の男性と面談して録音するというのはタフな仕事でした。しかし、依頼者の利益を考えて決行しました。
また、証拠が薄いからといって諦めてはならないということを実感しました。
離婚・男女問題は特に、必ず勝ち抜くという強い意思が必要だし有効です。

【離婚・男女問題】解決事例2:

DV慰謝料に加え多額の財産分与を獲得

相談前

相談者の夫は、浮気をしている疑いがあり、それを追及すると依頼者に暴力を振るっていた。依頼者は離婚を希望していたが、慰謝料を発生させる事情についての客観的証拠は乏しく、財産に至っては夫が全て管理していたので、十分な財産分与を得られるか不安があった。

相談後

浮気については、調査会社に依頼して証拠が取れたので、簡単に慰謝料が取れた。問題はDVで、病院や警察が関与したことはなく、怪我をした写真と依頼者の供述だけであったが、夫の反対尋問でボロが出て、妻にDVを加えていたばかりか、子供らの前でそれをやって子供に対する精神的虐待をしていたことも立証できた。

財産については、調停では夫側が同意しなかったからできなかったが、裁判になって丹念に金融機関への調査嘱託によって財産を探し、複数の預金と投資信託の所在を突き止め、十分な財産分与を得ることができた。

コメント

客観的証拠が薄くても、供述から重要な事実を引き出せることもあるので、依頼者はもちろん、相手方の人間性を十分に理解しておくことは有益です。
財産については、いくら相手方や裁判所に嫌がられようと、しつこく調査嘱託を重ねていく努力が有効です。

【離婚・男女問題】解決事例3:

相談前

依頼者は、夫のある女性と不貞行為をしていた。
その証拠は、その男性の自宅に合鍵を持って出入りするその女性の写真、ハートマーク頻発のラインの履歴などだった。

相談後

常識で考えたら、不貞行為がある関係としか思いようがない状況だったが、不貞行為がなかったことを裏付けるような状況証拠を積み上げて、真偽不明に持込み、請求棄却に持ち込んだ。

コメント

本当は不貞行為をしていたのですから、勝ってよかったのかという問題はありますが、夫婦の関係は事実上破たんしていたので、そもそも肉体関係があっても不貞関係にならないという余地もある事案でした。

不利な状況証拠が複数あっても、決してあきらめずに、コツコツと有利な状況証拠を積み上げることで、不貞行為が認定できないところまで持ち込めました。

【遺産相続】解決事例1:

遺留分、あきらめなくて良かった

相談前

依頼者の父が、愛人との間につくった子供らに、全財産を生前贈与していた。まず、不動産を管理する会社の株を譲渡し、次に、父名義の土地を4,000万円でその会社に譲渡していたが、その代金は父に渡っていなかった。

相談後

当初は、株の生前贈与は分からなかったので、会社に贈与された不動産を主なターゲットとして、遺留分減殺請求の裁判を地裁に起こした。

不動産の売買については、一応売買契約書が作成され、売買代金が父の債務の弁済に充てられていることなどから、通謀虚偽表示や贈与とは認められなかった。しかし、会社の株を子供らに贈与(株主名簿を書き換えただけ)したという主張は受け入れられ、会社の株の半分が、遺留分の対象とされた。

ただし、会社の株の半分を返してもらっても会社の経営が分裂するので、会社の資産の半分、つまり不動産の価値から会社の借入金などを差し引いた残りの半分を、払ってもらえることになった。

コメント

遺産分割でも、遺留分減殺請求でもそうですが、今ある財産をどう分けるのかという以前に、まず相続財産がそれで全てかどうかをよく考える必要があります。今ない財産でも、特別受益となる生前贈与や、被相続人の財産形成・維持に貢献した寄与分がありますし、一定の要件を満たせば生前贈与は遺留分の対象にもなります。
これらの法的な主張は、それぞれ決まったセオリーがあり、一般の方には難しいので、必ず弁護士に依頼しましょう。

このケースでは、当初は不動産の譲渡をターゲットとして起こした裁判でしたが、結果的には株の譲渡が遺留分の対象となることになり、裁判をしながら軌道修正してうまくいったケースです。

遺留分の事件は、特に、過去の贈与が対象になり得るのを見落としがちですので、気を付けましょう。

【遺産相続】解決事例2:

自己の寄与分と、相手方の特別受益の立証に成功

相談前

会社の経営権を巡る紛争を含む遺産分割の事件で、相談者は長男だったが、会社の株式を取得するためには、自己の寄与分と、他の兄弟らの特別受益を立証する必要があった。しかし、そのための具体的な立証方法が見当たらない状況だった。

相談後

遺産分割審判に移行した後、被相続人の預金通帳の履歴を丹念に洗い、金の流れを分析した。その結果、依頼者の貢献により被相続人の財産が増加もしくは維持できていること、及び、相当額の金員が他の相続人らに流れていることを立証した。

加えて、裁判所に調査嘱託の申立をなして、他の相続人らの預金口座履歴も調査することができ、被相続人名義の預金口座からの出勤と、他の相続人らの預金口座の入金との関連性を主張することができた。

結果、依頼者の寄与分、他の相続人らの特別受益を立証することができ、会社の株式は依頼者が取得することができた。他の相続人の子に対する贈与も、他の相続人の特別受益と認められた。他の残った預金などは、他の相続人らが取得した。

コメント

預金口座履歴は強い証拠です。一定期間は過去に遡って調べることもできます。預金口座履歴を調べたあと、その入出金履歴を丹念に分析して、お金の流れを捉えることが有効です。

寄与分は、親の世話をしたというだけではだめで、貢献により被相続人の財産を増加させたか、減少を防ぎ維持させたかを立証しなければなりません。
特別受益は、単にお金が流れたというだけではだめで、特別の受益であることの主張・立証が必要です。

相続人の配偶者への贈与が相続人の特別受益と認められるのは難しいですが、相続人の子への贈与は相続人の特別受益と認められる余地もあるので注意が必要です。

【犯罪・刑事事件】解決事例1:

重大事件の余罪嫌疑回避、準抗告を駆使して迅速に保釈・執行猶予獲得、被害弁償に代わる供託を実施

相談前

依頼者は、いわゆるキャバクラ店を多数経営する会社の幹部。従業員とともに同業他社の店舗に嫌がらせをしたとして、威力業務妨害罪にて逮捕・勾留された。

その同業他社の幹部が、複数名の男に襲撃され、殺人未遂の捜査もなされており、依頼者の関与も疑われていた。複数の暴力的事案の前科があり、場合によっては実刑も危惧された。

相談後

接見禁止に対する準抗告、勾留延長に対する準抗告をしていく中で、本件の勾留は実質的に別件である殺人未遂罪の捜査のために利用されていること、別件殺人未遂には依頼者が関与しておらず、関与していないという根拠を挙げた。

威力業務妨害では起訴されたが、殺人未遂罪での再逮捕・再勾留は回避できた。別件逮捕勾留を回避できたこともあり、迅速に保釈を得ることができ、保釈中の生活態度も良好で、懲役2年、執行猶予4年の執行猶予判決を得ることができた。

被害会社に対し、被害弁償の努力をしたが、被害弁償を受け取らないので、供託の手続きをした。情状上効果が大きかったと思われる。

コメント

刑事事件では、とにかく早く身柄を解放することが先決です。釈放されて心身ともに落ち着かないと、次のステップにはうまく進めません。そのために、私は、準抗告、保釈請求、抗告等、ありとあらゆる申立を駆使し、少しずつでも身柄解放に近づけていきます。

準抗告や抗告は、「やっても意味がない。」としてやらない弁護士が90%以上いると思いますが、検察官や裁判官に対するけん制となりますし、仮に棄却されても、その理由が書面に書かれますから、その内容をヒントにし、その課題を解決して、次の申立てに繋げることができます。

例えば、「共犯者の間の供述に齟齬がある。」と書かれたら、共犯者らが何をどう供述しているのか、弁護人間で情報交換し、対策を講じます。「実況見分が未了である。」と書かれたら、実況見分が終わったその日に、勾留延長に対する準抗告申立をすると、勾留期間が短くなったりします。

極端な場合、勾留延長がなくなったり、延長自体は認められてもわずか3日で、その3日はすでに経過している等で、即日釈放された被疑者も何人かいます。
接見禁止に対する準抗告などは、半分以上が通ります。仮に通らなくても、その理由が示されるのですから、やらない選択はあり得ません。

保釈についても、被疑者段階から準抗告を重ね、いったん保釈却下になってもまたその理由を参考に状況を整えて保釈申立をすることを繰り返し、努力をすれば許可が出るのは間違いなく早まります。

迅速に執行猶予を獲得できたのは、被疑者段階の準抗告により、捜査の状況や、裁判所が何を危惧しているのかが把握できており、保釈を早期に獲得していたからだと思います。

依頼者が、別件の殺人未遂罪に関与していたかどうかは不明で、私は関与していなかったと思いますが、再逮捕・再勾留されるだけでも肉体的・精神的苦痛は大きいので、被疑者段階の弁護活動の実りがあった事案だと思います。
執行猶予を獲得するのも楽ではなく、ギリギリの事案でしたが、このような事案では、被害弁償の努力がカギとなります。

刑事記録から被害会社の損害を計算し、その金額を上回る金額を被害会社に提示し、受取拒否に遭っても法務局に供託したことが大きかったと思います。

【犯罪・刑事事件】解決事例2:

早期示談成立により、職場退職を回避

相談前

依頼者は、強制わいせつ致傷罪で逮捕・勾留された。一流企業に勤務しているため、起訴されれば懲戒解雇が予想される事案であった。

相談後

検察官を通じて、被害者に示談交渉を呼びかけ、被害者から弁護人に連絡をしてもらった。しつこいようだが毎日電話をかけて、示談交渉に向けての誠意と熱意を伝え、4日後に示談交渉にこぎつけた。不起訴処分となったため、会社の懲戒解雇は免れた。

コメント

相手が犯罪被害者、特に性犯罪の被害者となると、弁護士といえども遠慮がちになってしまうものです。しかし、それで示談が遅れたり、成立しなかったりしたら、依頼者の不利益になります。一生懸命であることを伝え、理解してもらい、示談に応じてもらいました。

【犯罪・刑事事件】解決事例3:

執行猶予中の再犯ながら、再度の執行猶予を獲得

相談前

依頼者は、窃盗を繰り返し、懲役刑の執行猶予判決を受けながら、さらに窃盗を犯して逮捕・勾留された。摂食障害に窃盗症を併発していることが疑われた。

相談後

保釈獲得後、窃盗症の専門病院に入院して治療を受け、その成果を立証した。被害店舗には誠意をもって謝罪し、入院中も治療経過を報告する謝罪の手紙を書き続けた。その成果あって、示談書のほかに嘆願書を書いてもらうことができた。被告人質問は丹念に練習し、ほぼ満点の出来だった。結果は再度の執行猶予だった。

コメント

執行猶予中の再犯だと、実刑になるとあきらめがちでありますが、絶対に再度の執行猶予を得るのだという強い意思と希望が実を結んだ事案です。あきらめてはならない、ということを痛感しました。